帰化申請に必要な書類とは?スムーズな申請のために準備すべきこと

文責:所長 弁護士 江口潤

最終更新日:2024年11月01日

1 帰化申請時に必要な書類は?

 外国人の方が日本国籍を取得するための帰化申請は、複雑ですし、また、数多くの書類を揃える必要があります。

 帰化申請において必要となる書類は申請者の個別の状況に応じて異なる場合がありますが、まずは基本的な書類について理解することが、スムーズな手続きのための第一歩となるでしょう。

 帰化申請に必要な基本的な書類は以下のとおりです。

⑴ 帰化申請書

 申請者の基本情報を記載する書類です。

 法務局で入手することができますが、データではなく紙での入手になるため、手書きしなければなりません。

 帰化申請を取り扱っている弁護士事務所や行政書士事務所であれば、データでひな形を持っている場合があるため、それらを活用すると便利でしょう。

⑵ 履歴書

 過去の居住歴や職歴を記載する書類です。

 審査官が申請者の日本での生活の安定性を確認するために必要な書類で、帰化申請における重要な書類の一つです。

⑶ 住民票

 家族がいる場合には、家族の分もあわせて提出します。

⑷ 在留カード

 申請者が適法に日本に在留していることを証明するために求められます。

⑸ 国籍証明書

 申請者が現在保持している外国籍を証明する書類で、日本にある各国の大使館などで取得することができます。

⑹ 給与明細書、納税証明書など

 日本で生計を立てるための安定した収入があるのか、日本国民の義務でもある納税を問題なく行っているかなどを確認するために提出が求められます。

⑺ その他

 帰化申請者の本国から発行される出生証明書や結婚証明書などが求められることがあります。

 これらの書類は、本国での取得が必要になるため、一時帰国して取得するか、あるいは、本国にいる親族等に取得してもらう必要があります。

 いずれにしても、取得に時間を要することがあるため、帰化申請の見通しがついたら早めに取得手続きを行うことが大切でしょう。

 また、これらの書類は、通常本国の言語で発行されるため、日本語に翻訳をして提出する必要があります。

 翻訳者は、申請者本人でも問題ありませんが、適切な翻訳ができていないと申請が却下されるおそれがあるため、慎重に対応する必要があります。

2 書類提出前のチェックポイント

 帰化申請を行い、スムーズに受理してもらうために、書類を提出する前には以下の点を確認しておくとよいでしょう。

⑴ 提出する書類の漏れがないか確認

 帰化申請に必要な書類のリストを作成して、すべての必要書類が揃っているか最終確認を行いましょう。

特に、法務局が指定する書類の漏れがないかは、慎重にチェックする必要があります。

⑵ 書類のコピー

 提出した書類のコピーを取りましょう。

 法務局から提出資料に関する質問を受けた場合にコピーがあればすぐに内容を確認することができますし、帰化申請が認められなかった場合にどこに不備があったのかを確かめることが容易になります。

3 よくある書類不備による申請拒否例

 帰化申請が却下される原因の多くは、書類の不備によるものです。

 ここでは、不備の例を挙げ、その対策を紹介します。

⑴ 例①:納税証明書の不備

 納税証明書は、過去数年分の税金が適切に支払われているかどうかを証明する重要な書類です。

 しかし、過去に税金を滞納していた場合や納税証明書が不足している場合、申請が拒否されることがあります。

 特に、申請者が自営業者の場合、納税状況の確認が厳しくなります。

 対策として、申請前に過去の納税履歴を確認し、未納があれば速やかに納税し、納税証明書を取得することが重要です。

⑵ 例②:外国語書類の翻訳不備

 国籍証明書や出生証明書など、母国の書類を日本に提出する際には、日本語への正確な翻訳が必要です。

 翻訳に不備があったり、翻訳者の署名が欠けていると、法務局から再提出を求められることがあります。

 対策として、書類の翻訳を行う際には、信頼できる専門業者に依頼してサポートを受けながら準備することが有効です。

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